便が黒っぽいとは
便が黒っぽい、または黒色便とは、通常の便と比べて色が濃く、黒っぽい色合いの便が排出される状態を指します。
食生活や薬の影響で一時的に黒っぽくなることもありますが、消化器系の異常を示すサインである場合もあり、場合によっては早急な対応が必要です。
便が黒っぽくなる原因
- アルコールや喫煙の影響:長期的なアルコールや喫煙習慣がある場合、胃腸に負担がかかり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が生じやすくなります。こうした病変から出血が発生することで、便が黒くなることがあります。特に、飲酒や喫煙が多い方は注意が必要です。
- 食事や飲み物の影響:イカ墨、ブルーベリー、ほうれん草、レバーなど、黒や濃い色の食品を食べた後は、一時的に便が黒っぽくなることがあります。また、鉄分を含むサプリメントやビタミン剤も便の色を黒くすることがあります。これらの食品やサプリメントによる黒色便は、一時的なものが多く、特に心配する必要はありません。
- 薬の影響:鉄剤の摂取によって便が黒くなることがあり、これは薬の副作用としてよく見られる現象です。また、胃腸薬や一部のビスマス製剤も便の色に影響を与えることがあります。薬による黒色便は健康に悪影響を及ぼすわけではありませんが、念のため主治医に相談してみると安心です。
黒っぽい便が出た時に考えられる病気
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍:胃や十二指腸に潰瘍が生じ、出血が起こると、タール状の黒い便が排出されます。胃酸や消化酵素が血液と混ざることで、便が黒くなるため、胃痛や胸やけと共にタール便が出る場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
- 食道静脈瘤:肝臓の障害などが原因で、食道の静脈が拡張し、破裂すると大量の出血が生じます。これにより、黒っぽい便が現れることがあり、同時に吐血することも多いです。食道静脈瘤の破裂は緊急性が高いため、すぐに医療機関での治療が必要です。
- 胃がん:早期には無症状であることが多いですが、進行した胃がんでは出血が生じやすくなり、タール便として黒っぽい便が現れることがあります。がんによる黒色便は、一時的ではなく持続的であることが多いため、早めの診断と治療が求められます。
- 出血性胃炎:ストレスやピロリ菌感染、薬の副作用などで胃の粘膜が傷つき、出血することがあります。出血性胃炎による黒色便は、胃の痛みや不快感を伴うことが多いです。
黒っぽい便が出たときの対策
- アルコールや喫煙を控える:長期的に胃腸に負担をかけないためにも、アルコールや喫煙を減らすことが大切です。生活習慣を見直すことで、胃腸の健康が改善し、黒色便が発生するリスクを低下させることが期待できます。
- 食事内容を見直す:黒色便が一時的なものであれば、食事が影響している可能性があります。イカ墨やほうれん草などの濃い色の食材を一度控えてみて、便の色が元に戻るか確認しましょう。
- 服用している薬の確認:鉄剤やビスマス製剤など、黒色便の原因となる薬を服用している場合、医師や薬剤師に相談し、必要があれば別の薬に変更することを検討しましょう。
下記に当てはまる場合、当院までご相談ください
- 強い腹痛や胃痛を伴う:黒色便が出ている場合、強い腹痛や胃の痛みがあるときは、消化管出血の可能性が高いため、早めに診察を受けることが重要です。
- 貧血症状がある:出血が原因で黒色便が続いていると、貧血症状(めまいや立ちくらみ、疲労感)が現れることがあります。貧血が見られる場合には、原因となる出血部位を特定し、適切な治療を受ける必要があります。
- 嘔吐や吐血がある:吐血や嘔吐を伴う場合、消化管での大きな出血が疑われます。このような症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐお問い合わせください。