潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の内側の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる自己免疫性の疾患です。
原因は完全には解明されていませんが、免疫系の異常が関与していると考えられています。
この病気は再発と寛解を繰り返すことが特徴で、症状が急に悪化することもあります。
日本では難病に指定されており、治療費の一部が助成される制度があります。
適切な治療と生活習慣の管理によって、症状のコントロールと生活の質の向上を図ることが可能です。
潰瘍性大腸炎の原因
- 免疫系の異常:本来は病原体を攻撃する免疫系が、大腸の正常な細胞を攻撃して炎症を引き起こすと考えられています。
- 遺伝的要因:家族内で潰瘍性大腸炎を発症している場合、発症リスクが高まることが報告されています。
- 環境的要因:食生活の欧米化やストレス、大気汚染などの環境要因も関与している可能性があります。
- 腸内細菌の異常:腸内フローラ(腸内細菌のバランス)の変化が、炎症を引き起こす一因となる可能性があります。
潰瘍性大腸炎の症状
- 下痢:粘液や血液が混じることが多く、1日に何度も排便を繰り返します。
- 腹痛:特に左下腹部に痛みを感じることが多いです。
- 血便:潰瘍からの出血によって血が混じった便が出ることがあります。
- 発熱や疲労感:炎症が強い場合、発熱や全身の倦怠感が現れることがあります。
- 体重減少:栄養吸収が妨げられるため、体重が減少することがあります。
- 貧血:長期的な出血によって鉄欠乏性貧血が起こることがあります。
症状が軽い時期(寛解期)と悪化する時期(再燃期)が交互に現れるのが特徴です。
潰瘍性大腸炎の予防
- バランスの取れた食事:刺激物や脂肪分が多い食品を控え、消化に良い食品を摂取することが推奨されます。
- ストレスの管理:ストレスが症状を悪化させることがあるため、リラクゼーションや趣味を活用してストレスを軽減しましょう。
- 適切な運動:軽い運動は腸の健康を保つのに役立ちます。
- 医師の指導に基づく薬の服用:処方された薬を適切に服用することで、再発リスクを低減できます。
潰瘍性大腸炎の治療
- 薬物療法:炎症を抑える基本的な治療薬として5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤や症状が重い場合はステロイド剤など使用します。
- 栄養療法:消化しやすい食品を中心とした食事を指導されることがあります。重症の場合、経腸栄養や点滴栄養が必要になることがあります。
- 手術療法:症状が重く薬物療法で効果が得られない場合、大腸の一部または全体を切除する手術が行われることがあります。
- 定期的な検査とフォローアップ:潰瘍性大腸炎の患者は大腸がんのリスクが高まるため、定期的な大腸内視鏡検査が推奨されます。
最近の傾向と今後の動向
潰瘍性大腸炎の患者数は増加傾向にあり、特に若年層での発症が増えています。
この背景には、食生活の変化や腸内環境の変化が関与していると考えられています。
近年では、生物学的製剤や新しい免疫抑制剤など、より効果的で副作用の少ない治療法が登場しています。
また、腸内細菌を用いた治療(糞便移植療法)や個別化医療の研究も進んでおり、患者一人ひとりに合った治療法が提供される未来が期待されています。