大腸がんとは
大腸がんは、大腸(結腸と直腸)に発生する悪性腫瘍の一つです。
日本では年々増加しており、がんによる死亡原因の上位に位置しています。
食生活の欧米化や高齢化が影響していると考えられています。
大腸がんは、比較的ゆっくり進行するため、早期に発見し適切に治療を行えば完治する可能性が高いがんです。
発症部位によって、結腸がんと直腸がんに分けられますが、いずれも共通したリスク要因や症状を持ちます。
早期段階では症状がほとんど現れないため、定期的な検査が重要です。
大腸がんの原因
- 食生活の影響:高脂肪・低食物繊維の食事が大腸がんのリスクを高めます。特に赤身肉や加工肉の過剰摂取がリスク要因とされています。
- 遺伝的要因:家族歴がある場合、遺伝的に大腸がんのリスクが高まります。特に遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)や家族性大腸腺腫症(FAP)はリスクが大きいです。
- 加齢:大腸がんは年齢とともに発生リスクが高まる傾向があります。特に50歳以上の人に多く見られます。
- 肥満と運動不足:肥満や運動不足は大腸がんのリスクを増加させる要因として挙げられます。
- 慢性炎症:潰瘍性大腸炎やクローン病など、大腸に炎症がある状態が続くと、がんの発生率が高くなる可能性があります。
大腸がんの症状
大腸がんの予防
- バランスの取れた食事:野菜や果物、全粒穀物など食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。脂肪分の多い食事を控えることも重要です。
- 適度な運動:定期的な運動は腸の健康を保つのに役立ちます。ウォーキングやジョギングなど、日常的に体を動かす習慣を取り入れましょう。
- 飲酒・喫煙:アルコールの過剰摂取はリスクを増加させ、喫煙も大腸がんのリスクを高めるとされています。
- 定期的な大腸検査:年齢や家族歴によっては、50歳以上を目安に定期的な大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。早期発見が予防につながります。
- 体重管理:肥満を予防することで、大腸がんリスクを減少させることができます。
大腸がんの治療
- 内視鏡治療:がんが早期で粘膜内にとどまっている場合、内視鏡を用いて切除することが可能です。
- 外科手術:進行したがんの場合、大腸の一部を切除する手術が行われます。リンパ節の摘出も併せて行われることが多いです。
- 化学療法:手術後の再発予防や進行がんの治療に用いられます。抗がん剤を使ってがん細胞を抑制します。
- 放射線療法:直腸がんの場合、放射線療法が併用されることがあります。
- 免疫療法:最近では免疫チェックポイント阻害薬など、体の免疫力を高めてがん細胞を攻撃する治療法も注目されています。
当院では患者さんの状態に応じて相談しながら決定いたします。
最近の傾向と今後の動向
大腸がんの早期発見率は、内視鏡検査の普及により着実に向上しています。
治療においては、分子標的薬や免疫療法の進展により、進行がんの治療成績も改善しています。
大腸がんの原因や予防についての研究も進んでおり、生活習慣の改善による発症予防の重要性が広く認識されています。
今後は、より低侵襲な治療法や、個別化医療による治療の最適化が期待されます。
早期発見と適切な治療を通じて、大腸がんの克服がさらに進むことでしょう。